「本当に紙一重」首位返り咲きを呼んだJ1町田GKの飛び出しに称賛!「川崎戦これで退場になったのに」「フル代表に呼んで欲しい」などの声の画像
FC町田ゼルビアのGK谷晃生が好プレーを見せた 撮影:中地拓也

 FC町田ゼルビアが、J1第9節で首位へと返り咲いた。1点差での勝利を下支えしたGKの勇気あるプレーに、称賛の声が上がっている。

 単なる勢い、で片付けることはできない、ということだろう。前節に今季2敗目を喫して3位に後退した町田だが、1節で首位へと再浮上した。

 町田は昨季、青森山田高校を全国的な強豪へと育て上げた黒田剛監督の下、初のJ1昇格を成し遂げた。就任当初は手腕を疑問視する声もあったが、結果でそれらをねじふせた。

 クラブ史上初めて国内トップリーグを戦う今シーズンを前に、J1残留も不安視されていた。だが、ここでも開幕5戦を4勝1分と好発進を切って首位に立ち、雑音を封じ込めた。

 第6節には昨季3位のサンフレッチェ広島に今季初の土をつけられ、第8節にはディフェンディングチャンピオンのヴィッセル神戸に今季2敗目を喫して3位へと後退した。だが、4月21日の第9節でFC東京に2-1と勝利して、再び首位に立った。

 勝つためには、得点が必要だ。FC東京戦でも、1度は追いつかれながら、その4分後に勝ち越し点を決め、そのまま勝利をつかんでいる。

 一方、守備の力も勝利には欠かせない。ロングスローが注目を集めるが、ハードワークをベースにした前線からの守備も町田の大きな特徴だ。また、そうしたフィールドプレーヤーを最後尾で支えるGK谷晃生の存在も見逃せない。

 ガンバ大阪のアカデミーで育った谷はU-15から年代別の日本代表にも選ばれてきたが、2018年のトップチーム昇格後も、日本代表GK東口順昭の存在もあり、なかなか出場機会をつかめなかった。期限付き移籍した湘南ベルマーレでJ1デビューを飾り、東京五輪にも出場したが、復帰したG大阪では定位置をつかめず。ベルギー2部クラブへ期限付き移籍したものの半年ほどで復帰し、今季は町田へと期限付き移籍で加わっていた。

 苦しい道のりを歩んできた谷だが、そうした経験が無駄ではないことを証明した。前節までに挙げた5勝のうち4試合が1点差という僅差の勝利を守護神として支えたのだ。

 第7節の川崎フロンターレ戦では、71分の相手FW小林悠の飛び出しに反応。勇気を持って飛び出してセーブしたところ、レッドカードを提示された。

 1試合の出場停止を受けた後に戻ってきたFC東京戦だったが、谷に怯む様子はなかった。1点リードで迎えた後半早々、FC東京の仲川輝人にスルーパスで抜け出され、大ピンチの予感が漂う。だが、谷の判断に迷いはなく、ボックス外へと飛び出してスライディングを敢行。ギリギリの攻防で仲川は転倒したが、笛は吹かれなかった。

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