■「全く面白くない前半45分を過ごしてしまった」
「ざっくり言うと、全く面白くない前半45分を過ごしてしまった」と指揮官も酷評したが、確かに相手を怖がっている印象が強かった。今季4得点の相良にしても、吉田豊とルーカス・ブラガに徹底マークされ、仕事らしい仕事ができない。そうなると彼だけでなく、他の攻撃陣も消極的になってしまう。まさに悪循環に陥ったのだ。
厳然たる事実を監督にズバリ指摘されたら、選手たちも目の色を変えざるを得ない。森山監督はサンフレッチェ広島ユースを率いていた頃から、愛ある中にも歯に衣着せぬ物言いをする指導者として知られていた。
久保らを教えていた頃も「今、ここにいるやつでA代表まで残る人間はほとんどいない」と危機感を煽り、闘争心に火をつけていた。「ゴリさんから言われた激しく戦うメンタリティを今も忘れたことはない」と菅原も強調するように、心に響く言葉を投げかける。そこが仙台の面々にとっては大きいのだろう。
後半は反撃への姿勢を鮮明にし、最終的に中島とオナイウ情滋がゴール。2-3まで迫った。勝てはしなかったが、気迫と粘りを示せるようになったのは確か。そこが森山・仙台の1つの前向きな変化ではないだろうか。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)