■矢島慎也の復調という好材料
この時点ではまだ首位に辿り着いていなかったが、新戦力・矢島慎也の復調という好材料がチームをさらに押し上げた。2016年リオデジャネイロ五輪で指揮官と共闘した30歳の経験豊富なアタッカーが徳島戦からベンチ入りすると、第9節・ヴァンフォーレ甲府戦では2列目左で先発。今回のベガルタ仙台戦もそうだったが、矢島が中に絞ることで左サイドバック(SB)の山原怜音を高い位置に押し上げ、攻撃に厚みをもたらすという効果が如実に表れ始めたのだ。
「監督は『誰が出てもその人がうまくやってくれる』と思って送り出しているので、出た人間としては期待に応えなきゃいけない。僕が左に入れば中に絞りますし、カルリーニョスが左だったら外に張る。そうなったらトップ下の人間がフラフラしながらスペースを使いながらゴールに迫っていく必要がある。
このようにチームとしての狙いとか大枠はありますけど、プラスアルファで自分たちで判断していいと言われている。自分としては力を出しやすい環境だと思います」
矢島は前向きにコメントしていたが、複数の組み合わせがうまく機能するようになれば、乾やカルリーニョスらに依存しないチーム作りができる。実際、乾は今季11試合中3試合に欠場しているが、35歳になった大黒柱にフルシーズン頼り続けるわけにはいかない。そのあたりの解決策を秋葉監督なりに探し続けているのが現状なのだろう。今は成果が少しずつ出始めていると言っていい。