■戦い抜けるフィジカル
今季の清水にとって、もう1つの重要なポイントは走力だ。猛暑の夏場を乗り越え、シーズン通して高い強度を保ち続けることは、混戦のJ2を制するうえで絶対条件なのだ。
昨季終盤に失速した秋葉監督は厳しい現実を直視。今季はキャンプイン前から素走りをトレーニングに組み込んでおり、年齢の高い乾や吉田豊も容赦なく高い負荷のメニューを強いられているという。
「今年はエグいくらい練習で素走りをしてます(苦笑)。もちろん連戦とかの時は入れられないけど、しっかりフィジカルコーチが毎日毎日強度を計算してやってくれているんで、それがキレとか強度に繋がる。やってる時は嫌だし、しんどいけど、こうやって結果が出て、自分が動けたりすると、やっぱり『頑張ろう』と思う。すごい大事なことですよね」
34歳のベテランSB・吉田が神妙な面持ちで言うように、厳しい走りが戦い抜けるフィジカルをもたらしている様子。こうやって鍛え上げることで選手たちが一皮むけて、強い集団ができれば理想的。序盤をいい形で乗り切った2024年の清水がここからどういった軌跡を辿るのか。興味深く見続けていきたいものである。
(取材・文/元川悦子)