■「退屈な試合を減らすには」辿りついた答え
長引く不況、老朽化したスタジアム、劣悪な観戦環境、暴力的な観客(フーリガン)、入場料や交通費の値上げ、そして何よりも、退屈なプレー…。1980年10月にリーグクラブの会長はバーミンガムに近いソリフルという小さな町に集まり、将来のビジョンを語り合った。だが、当時のこうした人々には、テレビマネーの導入も、フーリガンへの対策についても、何のアイデアもなかった。試合をテレビ中継すれば観客がさらに減ってしまうというのが当時の常識だったし、フーリガンに対しては完全にお手上げ状態だった。彼らの想像力の範囲内にあったのは、「退屈な試合をどうしたら減らせるか」という点だけだった。
その1か月ほど前の試合後のある監督のコメントが大きな話題になっていた。超守備的な試合をしてなおアーセナルに0-2で敗れた試合後、ストーク・シティのアラン・ダーバン監督は、記者の批判的な質問に応えてこう語ったのだ。
「娯楽を求めているのなら、ピエロでも見に行くべきだ」