■引退した人気選手が提案「経費が必要ない」改革

 なんとか「退屈な試合」を減らそうと考えた彼らに示されたのが、「作業部会」のメンバーだったジミー・ヒルが提案した「3-1方式」だった。

 それまでの勝ち点は、「2-1方式」であり、「勝利に2、引き分けに1」の勝ち点が与えられていた。強豪とのアウェーでの引き分けは十分に価値のあるものとされ、ダーバンのストーク・シティのような考え方は、監督がどうコメントするかに関係なく、当時はごく一般的だった。それを勝利のために戦わせるには、勝利の価値を上げ、引き分けの価値を相対的に低くするのが一番というのが、ヒルのアイデアだった。

 ヒルは第二次大戦後のフラムの人気選手で、引退してからコベントリーで監督も務めたが、39歳でテレビ界に身を投じ、人気コメンテーター、あるいはキャスターとして活躍していた。そしてサッカー界のさまざまな改革にアイデアを出していた。そんなヒルにとっては、「3-1方式」は、彼(2015年に逝去)がサッカー界に残した最大の足跡だったかもしれない。

「『3-1』にすると、リードしているチームは、引き分けに持ち込まれては大変と、リードを守るために、より守備的になるかもしれない」と、アーセナルのテリー・ニール監督が懸念を表明したが、クラブの会長たちは、何よりもまったく経費を必要としないこの案に賛成し、翌シーズンからの導入が決まった。

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