■ボール運びの潤滑油に
登里享平の試合開始時のスタートポジションは左SB。川崎フロンターレと変わりはない。しかし、チームがボールを保持すると、そのポジションは中央に移る。ボランチとしての振る舞いを見せ、ビルドアップを潤滑にするのだ。
川崎の選手も試合後にその影響力を口にした。たとえば小林悠は、「ノボリの立ち位置によって、マークしきれない場面が多々ありましたし、彼があそこにいることで相手のビルドアップがすごい循環ができていたので、もうちょっと彼を消しながらプレーしたいとミーティングでは話してたんですけど、最後まで捕まえきれないまま時間がどんどん過ぎていってしまったなっていう感じもありますし、やっぱり厄介な選手だった」と話している。
ここまで好調なC大阪はその結果のままにボールを運び、1-0で川崎を破った。本来、ボールを保持したサッカーをしたいのは川崎だったが、それをピッチで体現したのは登里をボランチに据えたチームだった。
「自分が新しいチャレンジをして、また新しい刺激や成長を」と話す登里は、33歳にして新たな境地を開こうとし、それを古巣相手にも示せた。そして、「もっともっとやりたかった」とも話した。