■ピッチの惨状を覆い隠した「大粒のボタ雪」
当日の気象データを見ると、この日の最高気温は午前3時に記録された6.9度だった。それが9時には3.5度に下がり、さらに12時には1.0度にまでなった。空から落ちるものが雨ではなく、大粒の雪になるのは当然だった。国立競技場のピッチは、瞬く間に真っ白になった。キックオフは正午。これは、欧州では日曜日の未明、南米では土曜日の深夜に当たり、変えることのできないものだった。もちろん、過密日程を縫って来日している両チームのスケジュールを考えれば、順延もできない。
多くの人は知らなかったが、国立競技場のピッチはもともと「泥沼」だった。そこに朝からの雨で水が浮いた。その上に積もった雪は、もしかすると、国立競技場のピッチのこうした「惨状」を覆い隠してくれたのかもしれない。もしピッチが乾いた状態で、その上に雪が降っただけだったら、あんな試合にはならなかったはずだ。本当に選手たちを苦しめたのは、雪の下の泥沼だった。