■切り捨てられる「追加タイム」の端数
アディショナルタイムの取り方について、僕が日ごろ疑問に思っているのは下記の2点だ。
1:追加時間はなぜ切りのいい時間になるのか?
追加タイムの表示は「〇分〇秒」という形ではなく、「〇分」という形で表示される。しかし、これは必ずしも「〇分ちょうど」という意味ではない。
アディショナルタイムというのは、試合中に浪費された時間を足し合わせたものだ。
選手交代が行われたり、負傷した選手の治療が行われたり、VARが介入したり、ゴール後に選手たちがセレブレーションを行ったり、さまざまな理由でプレーが止まる。時には、レフェリーの身に着けているコミュニケーション用の通信装置が故障することもあれば、ピッチ内に犬が(あるいはファンが)乱入してきて試合が止まることもある。
そうした場合には、レフェリーが時計を止め、その合計タイムがアディショナルタイムとなるのだ。従って、「〇分ちょうど」となることもあるだろうが、たいていは「〇分〇〇秒」と端数が付くはずだ。だが、その「〇〇秒」は切り捨てられて、第4審判のボードには「〇分」という数字だけが表示される。
つまり、第4審判が「〇分」表示するのは「〇分以上ですよ」という意味であるはずだ。
実況アナウンサーが「目安〇分です」というのもこのためだし、海外では場内アナウンスで「ミニマム〇ミニッツ」、つまり「最低〇分」という言い方がされるときもある。
だが、たいていの主審は「〇分ちょうど」に笛を吹いてしまう。「ちょうど」というのは正確ではないかもしれない。「〇分+数秒」で笛が吹かれることが多い。FC東京対神戸の試合でも、清水主審が笛を吹いたのは52分6秒だった。