■ゲームメーカーの意味

 最初のランニングで先頭を走ったのは序の口。その後のボール回しなどでは、「もっとコミュニケーショ取ろうよ」「もっとしゃべって」と、大きな声でチームメイト同士での会話を促した。さらに、一つ一つのリアクションもかなり大きめ。

 練習後の長友は「アジアカップまではすごくみんな躍動していて、意欲と覇気があるなと、強いなと思っていた。それがアジアカップでは覇気がなかったなと。何が影響したのかは分からないけど」と語っていただけに、そんなチームに元気を注入するかのように、行動と声で示していた。

 そんなベテランの姿を見て引っ張られたのはコーチ陣も同じだった。名波浩コーチは練習中の長友に対して、「ゲームメーカーね」と声を出す。長友も、「俺がゲームメーカー?」と聞き直し、名波コーチがうなずくのを確認すると、「よっしゃ。ゴールも取ったしね」とさらに声を大きくした。この合宿を目前とした3月16日のJリーグで37歳のベテランSBは2010年以来となる14年ぶりのゴールを記録してチームの勝利に貢献していたが、自らそれを出して名波コーチの発言に乗ったのである。

 名波コーチが「ムードメーカー」と言い間違えたのか、あるいは、ゲームメーカーと言えるほどに雰囲気を変えたことを意味していたのかは分からないが、それほどに、練習の空気感は変わっていた。

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