■アジアカップで出た「熱量が足りない」

 こうしたピッチ内の存在感以上に、森保監督が期待しているのが、ピッチ外の影響力だろう。ご存じの通り、今はアジアカップ2023(カタール)で惨敗を喫した直後。イラク、イランという中東勢に立て続けに敗れ、ベトナム、インドネシアにも苦戦するという厳しい現実を突きつけられたばかりだ。

 そのうえ、攻撃のエース格である伊東純也(スタッド・ランス)を招集できない状況に陥っている。三笘薫(ブライトン)、冨安健洋アーセナル)という攻守のキーマンも不在。“飛車角落ち”と言ってもいいくらいの状況だ。その陣容で未知なる平壌に赴かなければならないのだから、選手全員のメンタル面を奮い立たせてくれる存在が必要不可欠だ。そんな状況だけに長友に白羽の矢が立ったと見ていいはず。

 カタールの地でイランに敗れた後、冨安は「熱量が足りない」と苦渋の表情を浮かべたが、それを確実にもたらせるのが長友という男だ。2008年から15年以上も日の丸を背負い続けてきた彼は日本を背負って戦うことの意味を誰よりもよく分かっている。どんな相手でも貪欲に泥臭く勝ちに行く姿勢をピッチ内外で表現できるし、遠藤航リバプール)ら後輩たちにも言葉で伝えられるのだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3