大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第132回「サッカーの聖地」ウェンブリー物語(4) 南野、冨安、香川、岡崎、岩淵ほか遠藤より早く栄光に近づいた日本人選手たちの画像
「2代目ウェンブリー」の3層式の巨大観客席。ピッチ上に立つと、その威圧感は想像以上のものだという。(c)Y.Osumi
 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、「あこがれの場所」。

■遠藤より早く栄光に近づいた「サムライたち」

「新ウェンブリー」の「決勝戦」における日本人選手の動きを追ってみよう。FAカップでは、2022年の決勝でリバプールチェルシーと戦い、0-0からPK戦6-5で勝ってカップを手にした。しかし当時リバプールに在籍していた南野拓実はベンチ入りを逃した。

 カルバオ・カップでは、2017年にサウサンプトンが決勝に進出、マンチェスター・ユナイテッドと対戦した。サウサンプトンの吉田麻也はフル出場して奮闘したが、試合は2-3で敗れた。さらに2022年の決勝ではリバプールがチェルシーと対戦、これも0-0からPK戦11-10というきわどい戦いとなったが、リバプールが優勝。ただ、南野はベンチ入りしたものの、出場機会はなかった。

 シーズン開幕を告げる「FAコミュニティーシールド」では、2013年にマンチェスター・ユナイテッドがウィガンと対戦、香川真司が所属するマンチェスターが2-0で勝ち、香川は後半38分から出場して優勝の瞬間を味わった。2016年には岡崎慎司が所属するレスター・シティがマンチェスター・ユナイテッドと対戦、1-2で敗れ、岡崎は先発したものの、ハーフタイムに交代した。

 2020年のFAコミュニティーシールドではリバプールがアーセナルと対戦、1-1からPK戦4-5で敗れた。この試合、リバプールの南野は後半14分から出場、PK戦では見事にゴールを決めたが、勝利には結びつかなかった。そして2023年にはアーセナルがマンチェスター・シティを4-1で下したが、アーセナル所属の冨安健洋は出番がなかった。

 そして、今年の「カルバオ・カップ」決勝、ついに遠藤が先発フル出場し、延長まで戦って1-0の勝利に貢献したのである。リバプールは負傷で何人もの主力を欠き、とくに攻撃陣には若手が並ぶ形となったが、遠藤はアンカーとして中盤で戦い続け、FW陣に好パスを供給して高い評価を受けた。

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