【川崎が磐田に敗戦を喫した中で見せた「意味と価値」(1)】無残なKO負けを拒否した“殴り返し”。HTに鬼木監督が投げかけた言葉に“共鳴”した「戦う意識」の画像
3点リードされながら、川崎フロンターレは一時、追いついて見せた 撮影:中地拓也

 ビンタの張り合いなら負けない。1発殴られたら2発殴り返す。悲願の初タイトルに手が届きそうで、無冠が続いていた2000年代の後半。レジェンド中村憲剛が口癖のように言っていたスタイルを思い出させるような試合展開だった。

 昇格組のジュビロ磐田に29分までに、立て続けに3ゴールを奪われた。いきなり3発もパンチを食らっても、川崎フロンターレは無残なKO負けを拒絶した。

「特に後半は行けるときに行く、例えばクロスを上げられるときに上げるといった部分が、失点したことによって引き出されたと思っている」

 こう振り返った鬼木達監督は後半開始から、中盤の構成を変えた。イエローカードをもらっていたアンカーの橘田健人に代えて瀬古樹を投入。山本悠樹がアンカーに回り、その前方で瀬古とキャプテンの脇坂泰斗がインサイドハーフで並んだ。

「アンカーを誰にするかで迷ったが、より攻撃的に出る意味で悠樹を選んだ。樹は前へ行くパワーやミドルシュートでゴールに絡む仕事ができるので、ハードワークをしてもらいながら、アンカーの脇は全員が頑張ってカバーする構成にした」

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