■「監督からは『戦えていない』という話があった」

 前半にFWエリソンが1点を返して迎えた後半。指揮官の狙いは的中する。55分に右CKから再びエリソンが、4分後の59分には磐田ゴール前の混戦からFWマルシーニョがゴール。3発殴り返す怒涛の展開が等々力陸上競技場を熱狂させた。

「セカンドボールを拾って、ハーフコートで攻撃するのがやりたい形だった」
 山本がアンカーでのプレーを振り返れば、瀬古はこんな言葉で続いた。

「後半に入るにあたって、監督からは『戦えていない』という話があった。僕自身は常にそういう(戦う)意識でプレーしている。次に繋がるものがあるとすれば個人のコンディション。試合に出れば必ず結果を残す気持ちで常に準備している」

 それでも、積極果敢なオーバーラップを披露して、左サイドから絶妙のクロスを供給。3点目の起点になった、左サイドバックの三浦颯太が悔やんだ。

「追いついた後に、ひと息ついてしまったのが自分たちの敗因だと思う」

 壮絶な殴り合いが演じられたなかで、スコアでは一度も磐田を上回れなかった。

「攻撃の部分における魅力を捨ててはいけない。4点取れたことは評価したいが、それでOKとするわけにはいかない。守備も含めてすべてがチーム全員の課題であり、そのなかで自分がマネジメントをもっと意識し、こだわらなきゃいけない」

 湘南ベルマーレとの開幕戦も2-1の逆転勝ちだった。理想は殴りっ放しになる、要は試合を支配し続ける展開。中盤の新たな組み合わせも含めて修正への処方箋をえられたとすれば、ホーム開幕戦で喫した初黒星は後に大きな価値を帯びてくる。

(取材・文/藤江直人)

(後編へ続く)

(2)へ続く
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