■最終ラインの有力候補4人
ボランチに比べると、守備陣はやや固定メンバーとなる傾向が強そうだ。現状でのファーストチョイスは右から長友佑都、森重真人、エンリケ・トレヴィザン、バングーナガンデ佳史扶という形になりそう。37歳の長友、36歳の森重の両ベテランにしてみれば「今年タイトルを取れなければ、もはやチャンスがない」というくらいの危機感を持って、新シーズン挑んでいるはずだ。
もちろん右サイドバック(SB)のバックアップには白井康介がいるし、センターバック(CB)も木本恭生やアカデミー出身の土肥幹太らがいるのだが、やはり2人の経験値を抜きにして上位浮上は難しいだろう。パリ五輪世代のバングーナガンデ、GK野澤大志ブランドンらをより飛躍させるためにも、彼らがフルシーズンしっかりとパフォーマンスを維持し、チーム全体の意識を引き上げることが肝要。それも今季のFC東京にとっては重要なポイントになってくる。
昨季の彼らは総失点46。それは優勝したヴィッセル神戸の29、3位のサンフレッチェ広島の28、4位・浦和レッズの27に比べると非常に多いと言わざるを得ない。総得点42という数字を増やすことももちろん大切だが、その前に失点数を減らすことの方が躍進への近道ではないか。そこは賢い長友と森重にはよく分かっているはず。彼らが圧倒的なリーダーシップを発揮して、堅守を構築できれば、2019年シーズン以来の優勝争いも現実味を帯びてくるのではないか。
首都・東京のチームが低迷していたら、やはりJリーグは盛り上がらない。今季、昇格組の町田ゼルビア、東京ヴェルディが参戦してきたこともあり、J1に長く在籍しているFC東京はより大きな存在感を示さなければならない。彼らには近年の停滞感を打破するような快進撃を見せてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)