「今回の大会、この経験をできたというのは必ず今後に生かさなきゃいけないですし、このA代表でプレーする難しさを改めて感じました」
イラン戦後に鈴木彩艶はこのアジアカップについて、そう振り返った。アジアカップは4年に一度の大陸選手権であり、若い選手が経験を積むために用意されている場所ではない。確かにシュミット・ダニエルが夏の移籍に失敗し、鈴木が加入したシント=トロイデンで4ヶ月間ベンチ外だった。
9月の欧州遠征に招集された中村航輔も、2戦目のトルコ戦で負傷。復帰後もしばらく所属クラブのポルティモネンセで試合に出られなかった。そして大迫敬介が昨年12月に右手舟状骨骨折という重傷を負い、全治2ヶ月と診断されてアジアカップの出場が絶望となった。
そうした状況で森保一監督はJ1王者ヴィッセル神戸の前川黛也、鈴木と同じパリ五輪世代の野澤大志ブランドンを招集し、すべての試合で鈴木が、日本のゴールマウスを守る結果となった。
野澤は残念ながら国内合宿で左手首を負傷し、つい先日まで一部別メニューだった。その一方で前川を起用するべきという声はあるし、筆者も2、3試合目のどちらかに一度は前川を起用しておくべきという考えだった。それでも鈴木は大会の中で雰囲気に慣れて、イラン戦のアウェーに近い雰囲気の中でも、堂々とハイパフォーマンスを出せるまでになったことはリスペクトしたいところだ。