■「点の取れる久保建英」の確立なるか

 今回、同じポジションの南野拓実モナコ)が初戦から2ゴール1アシストと気を吐いていることも大きな刺激になっているはずだ。もともとFW寄りのプレーヤーである南野と右ウイングを主戦場とする久保はタイプの異なる選手だが、代表でポジションを争う立場なのは事実。ここ一番で指揮官は「得点力の高い人材」を重用するはずだ。2022年カタールW杯で久保が鎌田大地ラツィオ)より序列的に下だったのも、そのあたりの物足りなさがあったからだろう。

 今大会で「点の取れる久保建英」を確立できれば、彼は名実ともに日本代表の司令塔に君臨できるに違いない。それだけの圧倒的なパフォーマンスが期待されるのだ。

 右サイドで先発するであろう堂安律(フライブルク)、左の中村敬斗(スタッド・ランス)、最前線の上田とともに「生かし生かされるベストな関係性」を構築しつつ、異彩を放つ背番号20が見られるのか。いずれにしても、イラク相手に苦戦するというこれまでの負のジンクスを覆すべく、久保にはそのけん引役になってほしいものである。

(取材・文/元川悦子)

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