■探求心が強いので「ワクワクしそうなほうへ」
鈴木は、チームでのトレーニングに加えて、個人でトレーナーとも契約している。湘南でチームメイトとなった杉岡大暉と田中聡とは、同じトレーナーのもとで一緒にトレーニングをしていたことがある。
「彼らとは沖縄へキャンプに行ったりもしました。いろいろなチームのいろいろな選手と、やり取りをしています。自分には良くないものとか必要のないものは取り除いていくんですけど、自分はとにかく探求心が強いタイプなんです。ワクワクしそうなほうへ行きがちで、今回の移籍も全然そうなると思っていなかったんですけど、妻には“オレはそういう性格らしい”と言いました」
好奇心にも似た探求心は、異なる理論を拒否しない。昨年からは高重心トレーニングをとり入れている。
「サッカー選手って重心を低くって言われがちで、僕のなかでは重心を低くプレーすることがよしと思っていたところがすごくありました。そのなかで高重心というワードを聞いて、トレーニングをしてみて、新しいなと思って続けています。実際にパフォーマンスは上がっていますし、それまでやってきたものがゼロになったわけじゃないんですけど、そうやって積み重ねていいとこ取りをしている感じですね」
高重心という概念を、もう少しかみ砕いてもらう。「重心をどこに置くかという意識の問題でもあるんですが」と言って、鈴木は「高重心低姿勢という感じですかね」と続けた。身体操作のひとつの理論、と受け止めていいだろう。
「身体をうまく使えていないと、疲労感が強く出ます。試合が続けばどうしても疲労が蓄積していって、普段したい動きができなかったりする。それでも動けちゃうんですが、疲労度も出力もやっぱり変わってくる。それはやっていてめちゃめちゃ分かります。高重心低姿勢でうまく身体を使えていると、疲れないですね。試合のなかでの疲労感が違います」