■スタッフたちの奮闘

 しかし、もしかすると、監督たちにとってより難しいのは、前半が良かったときかもしれない。相手は前半を分析し、問題への解決策を見いだして後半に臨んでくるはずだ。それに対して「よくできている。このままでいいぞ」だけでは、後半の相手の変化に対応できず、混乱が起きる恐れがある。良かったところを継続しようという言葉とともに、相手が計画する変化への警告も怠ることができないのである。

 近年では、そこに「分析担当コーチ」からのアドバイスや、映像制作スタッフが提供する前半の映像が加わる。リバプールFCの公式サイトで紹介された記事に、こうしたやりとりの模様が紹介されている。

 前半35分を過ぎると、ユルゲン・クロップ監督とヘッドコーチは、分析担当コーチを交えて後半の改善ポイントを話し合い、監督が話す2、3のテーマを決める。そして前半40分過ぎに分析担当コーチはひと足先にロッカールームに行き、観客席の上部から撮影データを抱えて戻ってきた映像制作スタッフと打ち合わせをし、監督の話に合いそうなビデオクリップを短時間のうちにつくらなければならない。それをハーフタイムになって戻ってきた監督とヘッドコーチに見せて使えるかどうか話し合い、最終決定する。

 選手たちが着替えなどを済ませて落ち着くと、クロップ監督が前半戦の評価をし、後半戦への改善ポイントを話す。その話に合わせて適切なシーンのクリップが流れると、選手たちの理解は話だけのときと比較すると格段に進むのだという。

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