■不言実行タイプの遠藤

 いま、カタールで5回目のアジアカップ優勝を目指して戦っている日本代表。そのキャプテンは、MFの遠藤航である。湘南ベルマーレのユースからプロとなり、2012年、新監督に就任した曺貴裁によって19歳でクラブのキャプテンを任された。その後、浦和レッズを経て欧州に渡り、シントトロイデン(ベルギー)、シュツットガルト(ドイツ)とステップアップし、昨年夏にリバプール(イングランド)に移籍。最初は苦しんだが、年末には欠くことのできない存在となった。

 さまざまな年代別代表を経て日本代表にデビューしたのは2015年、22歳のとき。25歳で迎えた2018年ワールドカップ(ロシア)では出番がなかったが、大会後、ボランチとして、キャプテンとしてチームを支えてきた長谷部誠が代表引退を宣言すると、森保一監督は遠藤をレギュラーのボランチとし、以後、中心選手として活躍してきた。そしてことし、森保監督は遠藤をDF吉田麻也に代わるキャプテンに任命した。

 遠藤は「不言実行」タイプのキャプテンと言える。大げさなジェスチャーや叱咤激励でチームを引っぱっていく選手ではない。ピッチの中央に位置し、誰にも負けない集中力で相手の攻撃を読み、果敢なインターセプトでその芽を摘み、あるいは粘り強い対応で前進を止め、そこから一挙に味方の攻撃につなげる。チームにとってこれほど頼りになる存在はなく、遠藤がそこにいて、プレーしているということだけで、チームの選手たちは自分がやるべきことを理解し、果敢に実践するようになる。

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