■「ポポさんのトレーニング」
実際、鈴木は心身ともに疲弊し切っていたと明かした。この状態のもとでプレーすれば、不慮のアクシデントを招きかねない。新シーズンも鹿島をけん引していく立場だと理解しているからこそ、すべてを一度リセットする必要があった。
「自主トレも例年よりはやっていない気がする。でも、ポポさんのトレーニングが多分、けっこうやると思うので。そこで上げていければいいかなと思っています」
親しみを込めて新監督を「ポポさん」と呼んだ鈴木は、これから課される内容が濃く、なおかつハードなトレーニングを歓迎しながらこんな言葉を紡いでいる。
「いまはゼロの状態ですね。ただ、この時期はチームのこともそうだけど、なるべく自分のコンディションに焦点を当ててやっていければいいかなと」
まもなく幕を開けるシーズンへ、例年通り具体的な数字目標は立てない。それでも「FWとして、2桁を取り続けるのはマスト」と責任感をのぞかせる。
「2桁取ってからどこまでいけるかは自分次第だし、チーム次第だと思うので」
昨シーズンの14ゴールは得点ランキングの5位タイで、日本人に限れば得点王の大迫勇也(ヴィッセル神戸)に続いた。一方でアシストは「5」と、2022シーズンの「10」から半減した。チームの勝利に直結する数字だけに納得していない。
アシストに関しても、2桁はマストと考える鈴木は「そこはしっかりと向き合っていきたい」と自らに矢印を向ける。現状でFW陣の補強がない状況で臨む新シーズンへ。鈴木が残す数字の多寡が、タイトル奪還を占うバロメーターになる。
(取材・文/藤江直人)