冬の風物詩である、全国高校サッカー選手権大会が終了した。青森山田高校の優勝で幕を閉じたが、見るべきものは多かった。実り多き第102回大会をサッカージャーナリスト後藤健生が振り返る。
■ロングスローへの苦言
青森山田高校には、相変わらずロングスローを多用することにも苦言を呈しておきたい。
ロングスローは、もちろんサッカー・ルールで許容されているプレーではあるが、サッカーの本質からはほど遠い技術と言っていい。スローインというのは、本来はボールがタッチラインを割った場合に競技を再開するための方法でしかない。
そして、ロングスローを行うためにはスロアーがスローインのポイントまで移動してきて、ゆっくりとボールをタオルで拭くことで再開まで時間がかかってしまう(今年の青森山田のスロアーは左SBの小沼だったので、右サイドからのスローインの場面では小沼が右サイドまで移動することで数秒の時間が浪費された)。
かつて、1995年に日本で開催されたU-17世界選手権(現U-17ワールドカップ)でスローインではなくキックインで再開するルールがテストされたことがあったが、プレー再開までの時間がかかり過ぎたため、その後、キックイン・ルール導入の議論はまったく行われなくなった。
あるいは、時間がかかることを防ぐために、かつて、ヨーロッパのカップ戦ではタオルの使用が禁止されていた時代もあった。2023年の天皇杯全日本選手権大会で、FC町田ゼルビアが横浜F・マリノスを破った試合では、町田の選手が時間を使ってタオルでボールを拭く行為を繰り返したところ、西村雄一主審がタオルを使わないように指示していた。