つまり、ロングスローというのはたまたまロングスローを投げられる選手のサイドでボールがタッチを割った時にのみ許される、あくまでも例外的なプレーと考えるべきだろう。

 あるいは弱小チームが、青森山田のような王者を相手に抵抗する手段としてロングスローを使うのは許されるかもしれない。だが、戦力的に「上手」であるはずの青森山田がロングスローを多用するのは、サッカーというスポーツのためにも良いことではない。

■近江が残した強い印象

 その点で、「結果」だけにこだわらず、真っ向からの勝負を挑み続けて決勝に進出して、さわやかな印象を残したのが近江高校だった。

 今大会で3度目の全国大会出場という近江だったが、前回大会は初戦だった2回戦で敗退。初出場の第99回大会では2回戦に進出したものの、1回戦はPK勝ち……。つまり、全国選手権ではまだ1勝もしていない無名校だった。

 2023年の全国高校総体でも1回戦敗退に終わっており、プリンスリーグ関西で2位に入ったものの、プレーオフでは鹿児島城西に敗れてプレミアリーグ昇格を阻まれたチームだった。

 だが、全国選手権に入ると、2回戦、3回戦ともにPK勝ちしてベストエイトに駒を進めると勢いに乗って、その後も確かな個人技を生かして勝ち上がってきた。

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