■ブライトンの試合観戦と代表合宿訪問
天皇杯決勝戦のスターティングメンバー11人の約半数がすでに退団。指揮を執る鬼木監督としては難しさもあるが、このオフにはさまざまな刺激と“成果”を感じていた。
サッカー日本代表が千葉市内で行っていた合宿を自らの希望で訪れ、その練習を最初から最後まで見学した。「いろいろ見たいものもあったんで」と語るように、日本サッカー協会の施設の一角にいた鬼木監督は視線を離さず、日本代表メンバーのファンサービスをもずっと見守っていた。
そしてその練習後、かつての教え子にも再開した。中村憲剛氏、谷口彰悟、板倉滉、田中碧の4人で、ロールモデルコーチながら日本代表の選手に混じった中村氏に「本当に上手かった」と話せば、現役の4人には「いろんな人の目指す存在になってほしい」と笑顔を見せる。
この代表合宿には参加しなかった三笘薫の姿は、イングランドのスタジアムの観客席から見守った。プレミアリーグ4試合を現地で観戦したのだが、そのうち2試合がブライトンの試合だった。かつて頼りにしたドリブラーが目の前で負傷したこともあって、やり取りは電話だけになったが、感じるものは多かった。
別れは避けられないが、再会は必ずある。だからこそ、こう語る。「次に誰か新しい人が出てくるだろうという期待が自分の中にあります」と。それは、鬼木フロンターレのこれまで7年間が証明している。今年はどんな存在が現れるのか。別れを力に変え、それぞれの道を歩む。
(取材・文/中地拓也)