■「ミレニアム世代」の”大外組”
しかし、そうしたメンバーが2026年まで固定化してしまうと、非常に危険であることは2014年のブラジルW杯を戦った”ザックジャパン”などの事例が証明している。また1つのポジションに複数の有力候補が出てくることによって、良い意味で特定の選手に頼らない選手層ができていけば、競争が活性化するだけでなく、チームとしても常にフレッシュな状況が継続されていくはずだ。
ここから1年間はアジアでの戦いが続く。”森保ジャパン”が目指すのは世界で一番高いところだが、この期間にどれだけ競争力のベースを高めていけるかが最終予選から、本番までラスト1年の強化に向けた鍵になる。おそらく鈴木彩艶(シント=トロイデン)や細谷真大(柏レイソル)のようなパリ五輪世代の突き上げが期待されるが、2000年生まれの三浦は佐野海舟(鹿島アントラーズ)や藤井陽也(名古屋グランパス)と同じ”超谷間世代”の一人だ。
筆者は2000年生まれの選手たちを「ミレニアム世代」と呼んでいるが、特に三浦はこれまでアンダーカテゴリーの代表に縁がなかった”大外組”の一人だ。FC東京U-15むさしでは1つ下に久保建英がおり、当時は割と仲が良かったが、三浦は控えで試合にあまり絡めていなかったという。久保は今回のタイ戦に参加できないため、代表で再会できるとしたらアジアカップになる。
「(アジアカップには)できるなら行きたいです。まあタケフサに会いたいとかはないですけど。ちょっと気持ち悪いので(笑)」
そう明るく語る三浦が今回の追加招集をきっかけに、どういったルートを辿っていくのか。それは個人としての楽しみだけでなく、北中米W杯を大目標とする”森保ジャパン”の競争力を高める存在という意味でも注目していきたい。
(取材・文/河治良幸)