■GKたちの見せ場
こうして、決勝戦は0対0のまま90分を終了する。
川崎は後半途中から小林悠や遠野大弥など攻撃的な選手を入れ、延長後半には故障した小林に代わって元フランス代表バフェティンビ・ゴミスも投入する。だが、結局、さらに30分間の延長も戦って両チームともゴールを割ることはできず、勝負はPK戦に持ち越されることになった。
スコアレスドローになったこの試合だったが、数は少ないながらも両者ともに決定機は作った。だが、そこに立ちはだかったのが両GKだった。
この数年、川崎が数多くのタイトルを獲得する中でゴールを守り続けた鄭成龍(チョン・ソンリョン)。そして、今シーズン、レギュラーの地位を勝ち取った松本健太の2人である。
鄭成龍の最大の見せ場は延長前半99分の細谷との1対1の場面だった。
片山がヘディングでクリアしたボールを、細谷が川崎のCB2人の間をうまくすり抜けて受けた瞬間、GKの鄭成龍が鋭いダッシュで飛び出してシュートコースを狭めて細谷の前に立ちはだかってシュートをブロック。そのボールが再び細谷の前に転がったのだが、鄭成龍はゴール前に戻るのでなく、こぼれ球を拾った細谷の前に走って細谷のクロスを再び弾いてCKに逃げることに成功したのだ。
一方、柏のGK松本の見せ場は、延長後半も間もなくタイムアップという118分に訪れた。
右からの山根のクロスを、ゴール前にいたバフェティンビ・ゴミスが正確にとらえたヘディングシュートは確実にゴール右を捉えていた。だが、松本がコースを読み切ったように横っ飛びでセービングした。そのこぼれ球には家長が反応していたが、すぐに起き上がった松本は、シュートコースを塞いでCKとする事に成功した。