ヴィッセル神戸の初戴冠を語る上で、欠かせない選手の一人がMF佐々木大樹となる。チーム3位の7ゴールをマークしたアカデミー出身の24歳は、22ゴールで自身初の得点王を獲得し、MVPも初受賞した大迫勇也へ畏敬の念を抱き続けてきた。
「練習で最後の部分が合わなかったりすると『そこだよ、そこだよ、お前』と常に指摘してくれる。おかげで最後のバイタルエリアでのプレーを強く意識できるようになってきましたし、実際に試合でゴールを決めたときにも、直後に『続けろ』とか『それで終わるな』と言ってくれる。本当に感謝しています」
故障者が続出した最終ラインで、昨シーズンまでの右サイドバックから一転、主戦場のセンターバックのファーストチョイスを担い続けた26歳の山川哲史も、ヨーロッパの戦いを知る大迫の言葉でプレーレベルを上げた一人だった。
敵味方として対峙したある日の練習で、大迫を狙ったロングボールを処理した直後。ヘディングで跳ね返した山川は、大迫からこんな言葉をかけられたという。
「そこでセンターバックがマイボールにできれば、チームとしてすごく大きいよ」
優勝を決めた名古屋グランパス戦。FWキャスパー・ユンカーを狙ったロングボールを、山川はポジションを見極めて胸トラップでカット。マイボールにしている。