■鹿島の先輩に「いい背中を見せてもらった」
大迫がJ1リーグ優勝を経験するのは、鹿児島城西高から鹿島アントラーズ入りした2009シーズン以来となる。当時は興梠慎三やマルキーニョスの控え。14年の歳月を超えて、チームも変わったなかでバトンを託せたのが今シーズンだったと笑う。
「当時は(鹿島の)先輩たちにいい背中を見せてもらったと、いまでも感謝しています。今回はそうした背中を僕たちが見せる番だったし、実際に優勝した成功体験が若い選手たちの自信となって、さらにチームを成長させてくれると思っています」
積極的に経験を還元してくれる大迫の存在感が、これまでにも増して大きくなる。必然的に相手ゴール前でまず背番号10に可能性が託される。2013シーズンの119ゴールを超える自己最多の得点数を、大迫は仲間たちの存在に帰結させている。
「僕にゴールを取らせてくれるチームになってきている。そこが一番大きい。僕一人でゴールを取れるタイプはないので、本当にチームメイトに感謝したい」
神戸の初優勝をけん引したプレーが評価された、文句のつけようのない初のMVP戴冠。ピッチ上でまばゆい輝きを放った大迫は、ピッチの外でもMVPだった。
(取材・文/藤江直人