東京ヴェルディが歓喜に浸ったJ1昇格プレーオフ決勝で、今シーズンのJ2はすべての日程を終了した。シーズンオフ恒例のベストイレブンを紹介する。
選考基準を2つ設けた。リーグ戦全42試合の半分にあたる21試合に出場しているか。42試合の半分の出場時間に相当する1890分以上を記録しているか。どちらかひとつを満たすことを基準とした。シーズンを通じての活躍を評価するためだ。
この基準を満たしていない選手としては、東京VのDF谷口栄斗、MF中原輝、FW染野唯月らがあげられる。谷口は負傷による離脱の影響で20試合出場(1672分)にとどまったが、出場した試合では守備の中心として機能した。中原と染野は夏の移籍市場での加入で、中原は16試合出場(1318分)、染野は18試合出場(1598分)となっている。中原は5得点4アシスト、染野は6得点1アシストを記録し、リーグ3位とプレーオフ制覇に大きく貢献している。ベストイレブンにふさわしい活躍を見せたが、残念ながら選考の対象外とした。
FC町田ゼルビアの右SB鈴木準弥も、夏の移籍加入後に定位置をつかんだ。正確なプレスキックを武器にチームのJ2優勝に貢献したが、出場試合数、プレータイムともに基準を満たしていないために選考外とした。右SB原輝綺(清水エスパルス)も、同じ理由で選考外としている。
それでは、ベストイレブンを紹介していこう。(#攻撃的MF・FW・監督・控え編)
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トップ下 乾貴士(清水エスパルス)32試合(2173分)
秋葉忠宏監督の就任とともにトップ下にコンバートされ、「超攻撃的」のスタイルを牽引。チーム3位の10得点をあげ、リーグトップタイの10アシストを記録した。DFがコースを切るタイミングを絶妙に外し、パスやシュートへつなげるトリッキーなプレーは乾ならではだ。清水がJ1昇格を果たしていたら、リーグMVPを受賞していただろう。
2トップ フアンマ・デルガド(V・ファーレン長崎)36試合出場(3139分)
リーグ4位の70得点を記録したチームで、その4割に迫る26ゴールを叩き出し、自身初の得点王を獲得した。アシストもチーム2位の「5」数える。自ら局面を切り開くタイプでないだけに、チームメイトのお膳立てがあってこそである。そのうえで今シーズンは、ペナルティエリア内での決定力を一気に高めた。
2トップ エリキ(FC町田ゼルビア)30試合出場(2361分)
31節の負傷でそれ以降はピッチに立てなかったが、それでも得点ランキング2位の18ゴールを残した。J2優勝によるJ1昇格の立役者と言っていい。加入1年目ながらシーズン序盤からズバ抜けた決定力を見せつけ、先行逃げ切りの勝ちパターンを作り上げることにつなげた。前線からの献身的な守備もチームの助けとなった。
監督 城福浩(東京ヴェルディ)
自身曰く「春先には見向きもされなかったチーム」をシーズン3位へ導き、プレーオフを経て16年ぶりのJ1昇格を勝ち取った。主力と見なしていた選手の負傷離脱に直面し、ホーム戦11試合勝ちなしの苦しい時期もありながら、ジュビロ磐田、清水エスパルスと並走して上位をキープした。夏の移籍市場で獲得した選手の活躍があったものの、シーズンを通してチームを成長させ、ラスト10試合を6勝4分の負けなしで乗り切ったのも高評価に値する。