【J1昇格PO準決勝「不安と盤石」】清水エスパルス、“神セーブ”GK大久保択生の活躍がなければ…薄氷のドローで決勝進出も「らしさの欠如」【戸塚啓のJ2のミカタ】(1)の画像
辛くもドローでJ1昇格プレーオフ決勝進出を決めた清水  撮影:中地拓也

■清水は絶対的守護神・権田修一が欠場

 誰も予想していなかった選手が、「超攻撃的」を救った。

 J2リーグの3位から6位までが出場するJ1昇格プレーオフの準決勝が、11月25日に行なわれた。この日は4位の清水エスパルスと5位のモンテディオ山形が、清水のホームIAIスタジアム日本平で激突した。

 J2リーグ最終節から、2週間のインターバル。両チームともに十分な準備期間を得た一方で、相手の状況が読みにくいところもあっただろう。

 果たして、両チームともに最終節からスタメンに変更があった。清水はリーグ戦全試合にフルタイム出場したGK権田修一が、メンバー外となったのである。スタジアムには姿を見せていたが、出場できない何らかの事情があったのだろう。

 代わってゴールマウスに立ったのは、34歳のGK大久保択生である。J1、J2で180試合強の出場を記録している彼は、6月のルヴァンカップ以来の公式戦出場である。

 独特の緊張感が漂うなかで、大久保にすぐさま守備機会がめぐってくる。3分、ゴール正面から放たれた山形MF南秀仁の右足ボレーを弾き出す。5分には右サイドを突破され、FWイサカ・ゼインにヘディングシュートを許す。大久保はこれもセーブすると、セカンドボールに反応した右SB山田拓巳のシュートもブロックした。

 序盤の清水は守備の狙いを定めきれなかった。ポゼッションを志向しつつもロングパスで3トップを走らせる相手に対して、パスの出どころをチェックしきれないのだ。18分にはロングパスに反応した山形FW藤本佳希に左CB鈴木義宜が背中を奪われ、ペナルティエリア右からシュートを許してしまう。

 ここでも大久保が立ちはだかった。右足でシュートのコースを変えたのだった。

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