■相手ゴールへ迫る清水だが…
GK大久保の好守で山形に得点を許さない清水は、30分過ぎからコンビネーションによる崩しを見せていく。そのまま敵陣で試合を進めながら前半を終えるが、後半も開始早々にピンチを迎える。47分、至近距離からFW藤本にシュートされるが、GK大久保がセーブした。
この日の清水は、自分たちの狙いを継続的に表現できない。決定機をきっかけに攻撃の勢いを強め、そのまま試合の主導権を掌握するいつものパターンへ持ち込めないのだ。
そのなかで、秋葉忠宏監督が57分に動く。左SB山原怜音、左MF中山克広を下げ、左SB吉田豊とMFカルリーニョス・ジュニオを投入する。4-2-3-1のシステムに変更はない。
67分には2度目の選手交代が行なわれ、右MF岸本武流に代わってFW北川航也がピッチに立つ。ここでもシステム変更はなく、北川は右MFのポジションに入った。
カルリーニョス・ジュニオが68分に右ポスト直撃のシュートを放つなど、清水は局面で質的優位を見せつけた。77分にもチアゴ・サンタナが際どいシュートを放っている。
85分にはリスタートから決定機を生み出した。北川の右CKを左CB鈴木がヘッドでフリックすると、右SB原輝綺がゴール正面にフリーで走り込んでいた。しかし、ヘディングシュートはバーをこえた。
89分には失点してもおかしくない場面があったが、相手のシュートミスに助けられた。
勝たなければ次の試合へ進めない山形が、時間の経過とともに攻勢を強めていくのは必然である。多少なりとも押し込まれるのは想定内だった。この試合を勝ち抜くことだけを考えるなら、0対0で終わらせればいい。実際に清水は、0対0で試合をクローズさせた。ファイナルへコマを進めた。
試合のディティールを見ると、辛抱強さやしたたかさと同時に、危うさも浮かび上がる。スコアを動かされてもおかしくない場面があったのだ。
この試合の翌日に行なわれた東京ヴェルディ対ジェフユナイテッド千葉戦は、リーグ戦3位の東京Vが勝利した。次は勝たなければならない。立場が変わることで、本来の清水らしさが解放されるのか。12月2日のファイナルまでに、どのような修正を加えていくのかが問われる。