川崎フロンターレが第103回天皇杯を激戦の末に制した。対戦相手は柏レイソル。120分を戦い抜き、スコアレスで迎えたPK戦を制しての戴冠だった。
この最初のキッカーを務めたのは家長昭博だった。今季途中から脇坂泰斗に譲っているものの、それまで不動のPKキッカーを務めていたベテランだ。1本目を決めるかどうかは、PK戦全体の流れに影響する。その重責を任せた。
川崎ではPKを獲得すれば、蹴りたい気持ちを表に出す選手が多くいる。得点にどん欲な選手の姿勢が揃っていることの表れだが、鬼木達監督は一貫してそれを背番号41の背中に乗せてきた。
筆者は今年、指揮官からPKについての話を2回聞いたことがある。その2つを総合すれば、PKにはポジティブな面とネガティブな面があり、その後者に目を向ければこその人選なのだという。
具体的にポジティブな面とは、「点を取っていない選手に蹴らせて波に乗せてあげたいという気持ちもあります」と説明するものだ。