■クラブの迅速な動き

 キャプテンの移籍と守護神の大けがという事態に、クラブの動きは迅速だった。攻撃力のある右サイドバック松田陸をJ1のセレッソ大阪から獲得、GKにはニュージーランド代表のマイケル・ウッドを京都から獲得した。さらに、J2のV・ファーレン長崎からは、甲府でのプレー経験があり、J1で大きな実績のあるブラジル人FWクリスティアーノを獲得、鹿島からはMF中村亮太朗が移ってきた。すべて「期限付き移籍」である。

 9月20日水曜日、甲府にとって歴史的なACL初戦はメルボルン・シティ(オーストラリア)とのアウェーゲーム。だが海外での公式戦は初という甲府は驚くべきサッカーを見せた。終始攻撃的なサッカーを展開、相手ゴールにシュートの雨を浴びせかけたのだ。0-0の引き分けに終わったものの、歴史的な試合は、日本のJ2クラブがオーストラリアの王者を圧倒するという歴史的な内容で、甲府に歴史的な勝ち点1をもたらした。

 さらに驚かせたのは、篠田監督が先発としてメルボルンのピッチに送り込んだ11人が、前週の週末に東京VとのJ2戦で先発させた11人とまったく違っていたことだった。大胆にも、篠田監督はJリーグの試合とは「完全ターンオーバー」のチームを送り出し、その選手たちが相手を圧倒する試合内容を見せたのだ。そしてこの形が、その後のACLの戦いの基本となる。

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