■歓喜の後の落胆
10月4日の第2節、甲府は初のACLホームゲームを行い、国立競技場でタイのブリーラム・ユナイテッドを1-0で下し、歴史をまた書き替えた。決勝点は後半アディショナルタイム入り直前、DF関口正大の右スローインを受けたFWクリスティアーノがクロスを送り、それをMF長谷川がヘディングで決めたものだった。クリスティアーノと長谷川はともに前週末のJ2リーグ水戸ホーリーホック戦(2-1の勝利)に先発し、このブリーラム戦では後半の半ばに交代で投入された選手だった。
10月25日の第3節、甲府は中国の杭州に乗り込み、浙江FCと戦い、0-2で敗れた。立ち上がり早々にCKから失点し、後半も相手の強力外国人FWに攻め込まれ、2失点目。その後は攻勢をとったが、相手GKの好守もあり、初の敗戦となった。
しかしその次節、11月8日に国立競技場に浙江を迎えた甲府は、キックオフから試合終了まで圧倒的な攻撃を見せ、4-1で完勝するのである。相手の不用意なDFラインを次々と破り、前半18分にウタカが先制点。前半のアディショナルタイムにはMF中村のパスで突破したFW宮崎純真のパスをジェトゥリオが決めて2-0。後半、PKで1点を許したものの、その直後に見事なコンビネーションでペナルティーエリア右を攻略、右サイドバックのDF関口が角度のないところから突き刺して再び2点差とし、後半アディショナルタイム入り直前には鳥海がダメ押しの4点目を決めた。
だがこの喜びのわずか4日後の11月12日、甲府は山形で大きな失望を味わうことになるのである。後半のアディショナルタイムに山形に許した決勝ゴールは、甲府の守備組織に一瞬の「空白」ができてしまった結果だった。