■代表チームも奮闘
本国では「オバQ」のような白いアラビア服に身を包んでいるサウジアラビア人たちも、ドーハで生活するときにはGパンにTシャツといった気軽な服装をしている。地元の人と区別がつかないから、モスクワの中国人のように目立つわけではない。しかしスタジアムに向かう地下鉄のなかやレストランで話すと、驚くほどサウジアラビア人が多かったのである。
サウジアラビア代表は大会初戦でアルゼンチン(最終的に優勝を飾ることになる)に2-1で逆転勝利を収め、ルサイル・スタジアムを埋めた数万人のサウジアラビア・ファンを熱狂させた。ただ残りの試合は、ポーランドに0-2、メキシコに1-2と連敗を喫し、結局グループ4位となって12月を迎える前に敗退した。
しかしその後も、サウジアラビア人たちはドーハにとどまった。そしてワールドカップの空気を吸い続けたのである。その姿に、ワールドカップに対するサウジアラビアの人びとの強い関心が表れていた。それは当然、大きく変わろうとしているサウジアラビアという国のワールドカップ招致に結びつくのではないかと思われたのである。