大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第124回「2034年ワールドカップ開催濃厚のサウジアラビア研究」(1)「1か月1000万円」宿泊費でも熱狂!カタールで感じた「風の変化」の画像
首都リヤドの北東郊外に1987年に完成した「キング・ファハド国際スタジアム」。現在は周囲に住宅地が迫っているが、1995年当時は「砂漠のまっただなか」のスタジアムだった (c)Y.Osumi

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「オイルマネーか人権か?」

■ワールドカップはサウジアラビアへ

「風」はどうやら、アラビア半島の砂漠の国に向かって吹き始めているようだ。2034年のワールドカップの招致レースからオーストラリアが脱落し、立候補国がサウジアラビアひとつとなって、「FIFAワールドカップ2034サウジアラビア」が現実的となった。あとはFIFAが承認すれば正式決定となる。

 わずか5年前の2018年、ワールドカップは明らかに中国に向かって傾いていた。ロシア大会期間中のモスクワの中心街は中国人の団体観戦客であふれ、大会スポンサーにも中国の企業がずらり並んでいた。国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長がワールドカップを出場48チームに拡大しようとしているのも、人口14億という巨大市場を視野に入れてのものと思われた。

 だが、2022年のカタールで感じたのは、「もしかして、風向きがアラビア半島に変わったのではないか」ということだった。ワールドカップのスポンサーには依然として中国企業の名が並んでいたが、新型コロナウイルス対策による旅行制限もあって中国人観戦客の姿はほとんど見ず、代わりにサウジアラビア人ばかりが目についたからだ。

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