■カタールを訪問した多くのファン

 同じアラビア半島の国で、カタールとは地続きのサウジアラビア。カタールのドーハまでは、首都リヤドからでも砂漠の中の高速道路を6時間、アラビア半島東海岸のダンマンからなら4時間という近さなのである。もちろん、航空便も数多くある。

 サウジアラビアの試合があるごとにたくさんのファンが応援に訪れただけではない。大会期間を通じて数多くのサウジアラビア人がドーハに長期滞在し、開幕から決勝戦までワールドカップを楽しんだのである。長期宿泊者のための施設案内サイトに「1か月400万円」や、ときに「1000万円」という高級マンションが並んでいたのは、彼らを当て込んでのものだった。

 2018年以降のワールドカップでは、入国のビザとチケットとともにスタジアム入場時のIDとなる「ファンカード」が発行されている。ロシアでは「ファンID」と呼ばれ、カタールでは「Hayyaカード」と呼ばれた。正確な数は発表されてはいないものの、外国人ファンでこのカードの発給を受けた数が最も多かったのは、2018年大会では中国、2022年大会ではサウジアラビアだったことが明らかになっている。

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