■「いい加減」でいい
サッカーというのは、かなりいい加減なスポーツである。
たとえば、ボールがタッチラインを割ったら、スローインでプレーが再開される。そのスローインの位置は、かなり「いい加減」である。
FKだってそうだ。反則が起こった位置からプレースキックで再開するのがFKだが、時には実際に反則があった位置からかなり離れた地点からキックしても認められることがある。
また、そのFKに対して、守備側のいわゆる「壁」が作られる。FKの位置から10ヤード離れなければならないのだが、時にはこの距離が明らかに近すぎたり、遠すぎたりする。バニッシングスプレーが登場してから、FKの位置と、壁の位置を巡る駆け引きはだいぶ少なくなったが、それでもボールの位置も、壁の距離もかなり「いい加減」なことはある(それでいて、FKのボールの位置について、やたらとうるさい審判もいる……)。
しかし、僕はサッカーというのはある程度「いい加減」でいいと思っている。いちいち、壁までの距離を測るために、アメリカン・フットボールのようなチェーンを登場させる必要はない。
それなら、オフサイドの判定だって、ある程度の「いい加減」さを認めるべきであって、赤や青のラインを引いてまで(長い時間を浪費してまで)厳密さを求める必要はないだろう。
VARが介入して、オフサイドを検証するのは、ゴールが入った後だけにして、そこでも赤や青のラインなどを引かないと分からないような場面は「同一線上=オンサイド」と判断すればいいのだ。
VARというのはあくまでも「明白なミス」を防ぐためのもの、と考えるべきだろう。そして、ハンドとオフサイドだけやたらと基準が細かくなるのは明らかにバランスを欠いている。