■日本の苦しい時間帯
左サイドバックで起用された中山も素晴らしい復帰戦となった。
2023年に入ってから、日本代表のウィークポイントと見なされていたのが左サイドバックだったが、中山のどうやら完璧な復帰でメドがついたようである。
チームとしての約束事なのだろう。中山は右の毎熊と同じように縦へのスルーパスでチャンスメークをしながら、自らもオーバーラップを仕掛け、サイドハーフの中村やMFの田中碧とのコンビネーションを生かして攻撃に厚みを加えた。
センターバックでは、ドイツ戦で完璧なプレーを見せた冨安と町田が、フィジカル能力の高いカナダのFWをしっかりと抑え込んで、最後まで安定したパフォーマンスを示した。
さて、2分に幸先よくゴールを奪った日本代表だったが、10分を過ぎる頃からカナダにパスをつながれて押し込まれる場面が増えてきた。
11分にデービスがボールを持った場面で伊東純也が守備に入り、デービスにかわされた場面があった。ここは遠藤航がカバーに入ってピンチを未然に防いだのだが、その直後には左サイドのFKからサイル・ラリンがヘディングシュートで日本ゴールを脅かした。
そして、その後、カナダが中盤でワンタッチ、ツータッチの短いパスを交換してからサイドを使って何度もチャンスを作った。そして、19分には左サイドをデービスとジョナサン・デービッドに崩されて、GKの大迫敬介が何とかクリアしたものの、VARが介入してカナダにPKが与えられた。
しかし、デービッドのキックを大迫が体勢を崩しながらも残した足でクリアして失点を防ぐことに成功した。
いずれにしても10分過ぎからPKを与えるまでの約10分間は日本のプレッシングが効かず、相手に自由にパスを交換されてしまっていた。