■森保ジャパンの風通しの良さ

 試合開始時点で、日本の中盤は遠藤がアンカーで田中、南野が攻撃的インサイドハーフだった。一方、カナダは3バック。やはりワンアンカーで、インサイドハーフの2人に両ウィングバックが関与することで、攻撃に入った時にはカナダが数的優位になっていた。そのミスマッチが、カナダに主導権を握られる原因だった。

 ベンチでそれを見ていた森保一監督は「システム変更も考えた」というが、相手に合わせてシステムを変えるのではなく、自分たちのやり方で主導権を奪い返すことを期待したようだ。しかし、結局、カナダにPKが与えられた時点で(VARの介入で、試合がストップしたため、時間はたっぷりあった)選手とベンチがやり取りを行い、ピッチ上の選手の感覚を取り入れて遠藤と田中のダブルボランチ(つまり4-2-3-1)に変更した。そして、この変更によって、日本は再びゲームの流れを取り戻したのだ。

 森保監督になって、日本代表では選手たちの感覚から来る助言を監督がすぐに受け入れるという風通しの良さが生まれているが、カナダ戦のこの場面でのシステム変更も、まさに両者のコミュニケーションの円滑さ示す場面だった。

 試合中にシステムを変更することによって自在に試合の流れを変えることができること。それも、今の日本代表の強さの一つだ。

(3)へ続く
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