サッカー日本代表は現在、「10月シリーズ」第2戦のチュニジア戦のキックオフを待っている。13日のカナダ戦には快勝したが、この10月の2試合をどう活かし、今後へつなげていくべきなのか。日本代表の「現在地」をサッカージャーナリスト・後藤健生が探る。
■新たなアピールに成功した選手
カナダ戦の守備ラインは板倉滉や谷口彰悟、菅原由勢、伊藤洋輝がベンチで、右から毎熊晟矢、冨安健洋、町田浩樹、中山雄太という新鮮な顔ぶれが並んだ。
一方、攻撃陣は三笘薫不在の左サイドで中村敬斗がトルコ戦に続いて抜擢され、トップ下にカタール・ワールドカップ以来の招集となった南野拓実が起用されたが、守備陣に比べれば比較的手慣れたメンバーのように見えた。
こうしてさまざまなテストを兼ねたカナダ戦は、さすがに新しい組み合わせが多かったこともあって、プレスのかけ方や奪いどころの設定など、「完璧な出来」からはほど遠かった。
だが、それでも、日本代表は4ゴールを奪って快勝したのだ。最強メンバーを組んで、最高のパフォーマンスを発揮したから勝利したのではなく、新布陣のテストをしながらでもこうした勝ち方ができるのだ。
さて、カナダ戦。キックオフ直後に日本が猛攻を仕掛けて1分20秒ほどで先制ゴールが決まった。
毎熊が前線にスペースを見つけてグラウンダーのパス送り、走り込んだ南野が受けてチャンスを作り、最終的には毎熊が入れたクロスの跳ね返りを田中碧が仕留めたゴールだった。
9月の遠征で初めて招集されてアピールに成功したセレッソ大阪の右サイドバックが、開始直後からゴールシーンに関わって、さらに新たなアピールに成功した。そして、毎熊はその後もタッチライン沿いのパスで前線の選手を使うと同時に、自らもオーバーラップを仕掛けて再三、攻撃に絡んだ。
しかも、右サイドバックの毎熊は、バイエルン・ミュンヘン所属でカナダの攻撃の軸になっているウィングバックのアルフォンソ・デービスと対峙していたのだ。もちろん、押し込まれて守備に追われる場面もあったものの、そのデービスとバトルを演じながら攻撃面でも貢献したのだから、森保監督の毎熊に対する評価も大きく上がったはずだ。