主力組を「分割」できるほど拡大した選手層【「10月シリーズ」サッカー日本代表の現在地】(1)の画像
復帰した南野を含め、選手層は格段に厚くなった 撮影:中地拓也

 サッカー日本代表は現在、「10月シリーズ」第2戦のチュニジア戦のキックオフを待っている。13日のカナダ戦には快勝したが、この10月の2試合をどう活かし、今後へつなげていくべきなのか。日本代表の「現在地」をサッカージャーナリスト・後藤健生が探る。

■チーム作りは新しい段階へ

 森保一監督のチーム作りは「新しい段階」に入ったようだ。

 カタール・ワールドカップ後に「留任」が決まった森保監督。カタールで戦ったメンバーに何人もの新戦力を組み込んだが、その後の強化試合ではそれほどメンバーを変えずに戦ってきた。ヨーロッパの新シーズン(2023-24シーズン)が始まってから好調を維持していた南野拓実も9月の欧州遠征までは一度も招集されなかった。

 だから、僕は森保監督はアジアカップまではメンバーをいじらないでチームを熟成するつもりなのかと思っていた。

 5年前のロシア・ワールドカップ終了後、フル代表の監督に就任した森保監督は、2018年の秋の強化試合ではあまりメンバーを変更しないで戦った。トップに大迫勇也を置き、2列目は堂安律、南野拓実、中島翔哉という形が機能を発揮し続けた。

 本来なら、新監督が就任した直後には多くの選手を招集して、いわゆる「ラージグループ」を形成するのが定石だ。だが、森保監督は動かなかった。

 考えられる最大の理由は、年が明けてすぐにアラブ首長国連邦(UAE)でアジアカップが開催されることが決まっていたからだ。新監督としての権威を確立するためにも、森保監督にとっては良い結果を出す必要がある大会だった。

 そして、これはアジア・サッカー連盟(AFC)によく考えてもらいたいのだが、アジアカップがワールドカップの翌年、しかも年明け早々に開催されることで、ワールドカップに出場した強豪国にとっては難しいスケジュールを強いられることになる。

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