■DF陣のサバイバ

 伊藤洋も恵まれたサイズを生かした1対1の強さに加えて、課題だった攻撃面も2列目やボランチとの関係など徐々に良くなっているが、中山はバランスワークやサポート能力に優れており、正確な左足のキックも武器としている。

 中山が左サイドバックで定着してくると、センターバック陣に何かあった時に伊藤洋を回すことも可能となる。中山自身もセンターバック、さらにはボランチもこなせるので、アジア二次予選から現在より3人少ない23人枠に戻ることを想定しても、ディフェンシブなマルチロールとして稼働できる中山の存在は大きい。

「とにかくプレーを見てください」と笑顔で言い放った中山のパフォーマンスは、南野らの二列目に負けず劣らず、注目したいポイントだ。

 さらにディフェンスラインでは右サイドバックの競争が熾烈を極めそうだ。ファーストチョイスになっている菅原由勢(AZ)に、9月のトルコ戦で代表デビューを飾った毎熊晟矢セレッソ大阪)と橋岡大樹(シント=トロイデン)が挑む構図だが、23人枠を想定すると今回の”森保ジャパン”でもサバイバルをかけたポジション争いになる。

 GKは大迫敬介サンフレッチェ広島)がカナダ戦のスタメン濃厚と見るが、パリ五輪世代から招集された鈴木彩艶、2戦目がノエビアスタジアム神戸での試合となる前川が、このシリーズでどこまでアピールできるか。

 二次予選を前にした最後の親善試合であり、2試合とも勝利が求められるのは大前提として、チームに新たな活力を加える選手起用、そしてアピールに期待だ。

(取材・文/河治良幸)

  1. 1
  2. 2