■後半アディショナルタイムにドラマが
磐田の横内昭展監督は、後半開始とともにボランチ山本康裕を下げ、MF古川陽介を投入する。古川は2列目の左サイドに立ち、ドゥドゥがボランチへポジションを下げる。山本が足を痛めたことによる選手交代と立ち位置の変更だったが、古川が縦への推進力を出していくことで、左SB松原后の攻撃への関わりも効果的となる。さらには相手の5バックを広げることにもつながり、トップ下の金子が守備ブロックの間でボールを受けられるようになる。ボランチへポジションを変えたドゥドゥのミドルシュートも、相手の脅威となっていった。
試合の主導権を握っているのは磐田である。ところが、63分に失点してしまうのだ。古巣対戦となった大宮FW中野誠也に右サイドを突かれ、FWシュヴィルツォクに蹴り込まれてしまうのだ。
直後の65分、横内監督が交代カードを切る。松本と金子を下げ、MF藤川虎太朗とFW後藤啓介を送り出す。
攻撃の圧力を高めていく磐田は、72分に後藤がペナルティエリア内からフリーで狙う。この一撃はバーに弾かれてしまうが、77分に藤川が左足シュートでゴールをこじ開ける。藤川は前節に続いて途中出場からのゴールだ。
2-2。ここから先は、勝利への執念が問われた。磐田はJ1昇格のため、大宮はJ2残留のために、勝点3を追い求めていく。
後半がアディショナルタイムに突入した直後、磐田に敗戦の危機が迫った。クイックリスタートから大宮MF栗本広輝に抜け出され、GKと1対1に持ち込まれる。守護神・三浦龍輝のシュートストップで失点を許さず、セカンドボールを拾われてシュートに持ち込まれた直後の場面は、ブラジル人DFリカルド・グラッサが肩でシュートをブロックした。
絶体絶命と言っていい危機をしのいだ磐田は、90+5分にドラマを巻き起こす。右CKからリカルド・グラッサが左足シュートを蹴り込んだのだ。
今節は首位のFC町田ゼルビアが敗れており、劇的勝利の磐田は勝点差を「6」に縮めた。その一方で、清水エスパルスが勝点1差、東京ヴェルディが勝点2差で追いかけてくる。
試合後の横内監督は、「ここからはこういう試合が続く」と話した。次節もホームで戦う。J1昇格のために、勝点を落とせない。落とすわけにはいかない。