■優勝候補は北朝鮮
さて、この「第3組」の予選大会には6チームが出場した。ブルネイ、中国、香港、日本、北朝鮮、シンガポールである。ビルマ(現ミャンマー)とスリランカもエントリーしていたが、棄権した。大会はまず6チームを2チームずつ組み合わせて予備戦を行い、その結果が3チームずつに分けてグループステージ、両組2位以上が出て準決勝以降のノックアウトステージという形だった。
本来なら組分けは抽選で行えばいいのだが、2チーム減ったことによる試合減(イコール収入減)を補うための方策だった。予備戦は香港対日本を開幕戦(6月14日)とし、翌日にシンガポール対ブルネイと中国対北朝鮮の2試合が行われた。日本は香港と0-0で引き分け、PK戦を4-3で制した香港がA組にはいった。翌日にはシンガポールがブルネイに6-0、中国が北朝鮮に1-0で勝って、A組は香港、中国、ブルネイ、B組は日本、北朝鮮、シンガポールとなった。
優勝候補は北朝鮮。前年春に「ピョンヤン4.25」というクラブ名で日本遠征を行い、日本代表と対戦して4-0圧勝したのとほぼ同じメンバーであり、1966年ワールドカップでセンセーションを起こしてベスト8に進出したときの選手もたくさん残っていた。そのスピードとパスワークは、依然としてアジア・トップのレベルだった。
だが、「予備戦」では中国が勝ってスタジアムを埋めた超満員のファンを歓喜させた。観客の多くは中国人労働者である。中国代表は香港代表よりも人気があった。