■北朝鮮との対戦は?

 北朝鮮の事情については、日本でもよく知られているだろうが、シリアと同じようにこちらも世界の常識がまったく通用しない国の一つである。

 農業生産の不振で食糧不足は深刻化。経済もマイナス成長が続く中で、金正恩(キム・ジョンウン)指導部は核兵器やミサイル技術開発のために巨額の資金を投入しているのだ。

 第2次世界大戦前は日本の植民地で、初代の指導者だった金日成(キム・イルソン)主席は「抗日戦争のリーダーだった」という触れ込みで政権を掌握した。以後、権力は金正日(キム・ジョンイル)、金正恩と子から孫に継承され、「反日」はこの国にとって国是のようなものだ。戦後78年を経過して、日本と北朝鮮の間にはいまだに国交がない。

 シリアとのアウェーゲームと同じように、北朝鮮とのアウェーゲーム(2024年3月26日)の開催地も見通しが立たない。

 1985年4月のメキシコ・ワールドカップ予選をはじめ、日本はこれまで何度も平壌(ピョンヤン)で試合をしている。中国経由で入国するのも移動距離としては長くはない。2024年3月の場合は、日本でホームゲームを行った直後だから、全選手がそろって中国経由で北朝鮮入りすることができる。

 ただ、北朝鮮は国内の医療体制が脆弱なことを自覚しているためか、新型コロナウイルスの国内流入を極度に恐れていて外国人の入国を一切認めていない。

 北朝鮮にとって中国との貿易は経済的な生命線なのだが、新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以来、両国間の鉄道輸送も止まったままになっているという。

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