2026年ワールドカップ出場を争うアジア2次予選の組分けが決まった。本大会の出場国変化に伴い、予選も大きく様変わりする。日本代表はいかに戦うべきなのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■内戦が続くシリア
グループBの顔ぶれを見てつくづく思うのは「難しい国ばかりだ」ということだ。
2022年に始まったロシアの侵略によって国際ニュースはウクライナ問題に集中しているが、シリアでは今でも悲惨な内戦が続いている。
2011年の「アラブの春」と呼ばれる民主化運動に端を発した内戦は、シリア政府軍と民主化勢力との戦闘として始まり、そこにアルカイダやISなどイスラム過激派や外国勢力(たとえば、ロシアの「ワグネル」)などが入り乱れて大規模な戦闘が続き、数十万人が犠牲になるとともに、1000万人以上が難民となって明日の食糧にも事欠く生活を送っている。
内戦の激しさと長期化。そして、政府軍が自国民に対して軍事的な攻撃を続けるという異常な事態はけっして忘れてはならないことだろう。
さて、そうした内戦激化の結果、シリア代表はホームゲームを国内では開催できない状態が続いている。カタール・ワールドカップ3次予選でシリアはA組の5位に終わったが、ホームゲームはヨルダンのアンマンかUAEのドバイで戦っている(内戦下にあり、ホームで戦えないような状況でも3次予選に進出していることに、シリアという国のサッカーの伝統を感じざるを得ない)。
今回も、11月21日のシリアとのアウェーゲームは中東のいずれかの代替地で行われることになるだろう。
カタールやUAEが開催地ということになれば、日本代表にとっては戦い慣れた会場ということになる。そして、試合地が中東であればヨーロッパ組の選手にとっては移動距離が短くて済み、負担も小さくなるし、試合日が11月下旬なので暑さも大きな問題にはならない。