■ACLの新ルール
何よりアジアサッカーへの影響が大きい分野は、クラブが出場するACLとなるだろう。アル・ヒラルは2019年と2021年のACLで優勝を飾り、2017年と2022年には準優勝。東の日本とともに、西のサウジアラビアが、近年のACLの主役であったことは間違いない。だが2022年大会までのACLには、「外国人選手は3人、プラスAFC加盟国の選手1人」という制限があった。これが、ことし夏からの2023-24大会(シーズン制変更)では、「外国籍選手5人、プラスAFC加盟国の選手1人」に変更される。
ACL2023-24には、サウジアラビアから4クラブが出場する。リーグ・ステージから出場するのは3クラブ。リーグ優勝のアル・イテハド(出場12回目)、カップ優勝のアル・ヒラル(同19回目)、そして前年のカップ優勝のアル・フェイハ(初出場)である。そしてその前のプレーオフからは、リーグ2位のアル・ナスル(7回目)が出場する。PIFの傘下となった「ビッグ4」のうち、アル・アハリは、2023-24シーズンを2部で戦っており、出場はできなかった。
アル・フェイハは、アル・マジマアという人口4万5000の小さな町のクラブ(2023-24シーズンの1部リーグでは11位だった)。現時点で7人の外国人選手が登録されているが、世界に名を知られた選手は、セルビア代表84試合の記録をもつ39歳のGKブラジミル・ストイコビッチぐらいだ。
だがこのアル・ファイハ以外の3クラブは、ACLの新ルールにより、世界的なスター選手をずらりと先発メンバーに並べることができるのである。今後のACLをサウジアラビア勢が独占する形になる可能性は十分ある。それはACLやアジアのサッカーのステータスを高め、レベルアップに貢献するのだろうか、それとも大会自体を興味の薄いものにしてしまうのだろうか。