■爆買いの問題は?
だが、そうして使われるサッカーは、どんな影響を受けるのだろうか。世界中からかき集めるテレビマネーでこれまで繁栄の一途をたどってきた欧州のサッカーに陰りは出るだろうか。その恐れは十分ある。世界中のスターが集まっていた欧州のサッカーシーンから、次々と大物が引き抜かれ、中東の国に話題をさらわれるのは、大きなイメージダウンに違いない。
そして、4クラブだけにしろ、サウジアラビアのクラブが選手たちの鼻先にちらつかせる巨額の年俸に資金力対抗するには、欧州のクラブは新たな収入の道を探らなければならなくなるだろう。それは過去20年間のなかで進行してきた「外国の財閥によるクラブの買収」という方向がさらに加速するということになるだろうか。
サウジアラビアはアジアの国であり、アジアサッカー連盟(AFC)の加盟国である。クラブが世界的なスターを引っぱってくることは、サウジアラビア選手の活躍の場を奪うことになり、サウジアラビアの代表チームは弱体化するかもしれない。それとも、リーグの活性化、世界のトプクラスの選手と練習しプレーし、対戦することで、選手たちは急激な成長を遂げるのだろうか。