■後半はシュート3本にとどまった

 後半開始とともに、秋葉監督は交代カードを切る。トップ下の乾貴士を下げ、FW北川航也を送り込む。同時に、システムを変更した。

 鈴木と高橋祐治の両CB、左SBの吉田豊が3バックを形成し、右SB北爪健吾、左MFカルリーニョス・ジュニオがウイングバックの立ち位置を取る。相手ボールの局面になると5バックで構える布陣は、後半開始直後の失点を防ぐための処方箋である。

 システム変更で栃木に好機を与えない清水は、追加点の好機をつかんだ。52分、一本のミドルパスで相手のプレスを裏返すと、北爪が右サイドを突く。ペナルティエリア内のMF中山克広がフリーでパスを受けるが、右足のシュートは相手GKに弾かれた。

 後半立ち上がりをしのいだ清水は、3バックから4バックへ緩やかに戻していく。本来のシステムで追加点を狙うが、67分に失点を喫する。DFの攻め上がりに守備のバランスを乱され、ゴール前に危険なスペースが生まれてしまった。至近距離からのヘディングシュートは、GK権田修一にもノーチャンスだった。

 追いつかれた清水は交代カードを切っていくが、好機を作り出せない。後半はシュート3本にとどまった。1対1で引分けた清水は、2試合連続ドローに終わったのだった。

 試合後の秋葉監督は、「1点しか取れないのは我々(の本来の姿)ではない」と話した。

 長いリーグ戦を乗り切るための対応として、1対0で勝ち切る勝負強さは備えたいだろう。しかし、「ウノゼロ」の勝利はわずか1試合だ。持ち前の攻撃力を生かして「打ち勝つ」のが、現時点でのチームスタイルに即した選択肢となっている。

 清水の通算成績は11勝10分6敗で、引分け数はプレーオフ圏の上位6チームで最多だ。ゼ・リカルド前監督指揮下だけでなく、秋葉体制でも5つの引分けがある。ドローゲームを勝ちに変えていく必要があるのは明白で、2点目、3点目を決めて相手を突き放す「超攻撃的」なサッカーを、清水はどこで取り戻すことができるのか──。

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(2)へ続く
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